しおひめの
「和文化おもてなし」

 

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しおひめの「和文化おもてなし」~人と文化がつながる時間~

 

第八回:「おもてなし」が息づくところ

 

 人は、どんなところに「おもてなし」を感じるのでしょうか。

 おもてなしは、旅館やレストラン等、特別な空間にあるものだと思われがちですが、私達の身近なところに息づいています。今回は、暮らしの中から食事・ことば・住まいについて一緒に「おもてなし」を見つけて行きたいと思います。

 

食事のおもてなし

 暮らしの中で最初におもてなしを受けるのは、朝起きてからの食事の場面です。トントントン。一階の台所から聞こえてくる朝ごはんの支度の音。母の野菜を刻む音で朝、目が覚めていました。大根を刻む音、焼き魚のかおり、炊き立てのご飯のかおり、味噌汁のかおり。ご飯を食べるまでの間に、母のおもてなしがありました。毎日食べるごはんには、特別なものは何もないけれど、そこには、家族への美味しさのおもてなしがありました。作る人の姿が、ごはんを美味しくしています。美味しさは形は残りません。けれども、想い出と一緒に人の記憶に残ります。おもてなしも形には残らないもの。形に残らないものだからこそ、私たちは大切に心に残そうとしているではないでしょうか。子どもの頃、家族が作る食事のおもてなしに氣が付かないでいました。ふるさとを離れ暮らしていた15年の間に、朝ご飯を通して、家族のおもてなしを受けていたことに、初めて氣が付きました。朝起きて食卓にご飯があるのは幸せなことですね。朝の食事のおもてなしは、温かい贈り物です。

 

ことばのおもてなし

 人と出逢い最初にかわすのは言葉です。そこには、ことばのおもてなしがあります。「おはようございます」一つにしても、人を敬う氣持ちが込められています。私達が使う身近な言葉として、「ありがとうございます」があります。主に、人に感謝の氣持ちを伝える時に使います。接客業に携わっていた頃には、この言葉を多くお客様にお伝えしていました。毎日、出逢うお客様は異なります。「ありがとうございます」は、自分が毎日使う言葉でも、お客様にとっては、その時初めて受け取る言葉です。お迎えする時も、お送りする時も、感謝の氣持ちを言葉に込めて使っていました。この他にも、ことばのおもてなしとして使われる言葉に、「おたがいさま」「おかげさま」等があります。共に、言葉を交わす度に温かい時間が流れます。私達は、支え合い助け合いながら、おたがいさまに毎日を過ごしています。そして、おかげさまの言葉には、お世話になっている方、遠くで見守って下さる方への感謝の氣持ちを表す言葉として使います。現在では、人と会って言葉を交わすことよりも、メールで言葉を交わす機会が多くなっています。感謝の氣持ちは、人と会って伝えていきたいですね。それが、ことばのおもてなしです。

 

住まいのおもてなし

 住まいの中に季節感を取り入れて、暮らしを楽しむおもてなしがあります。年中行事です。お正月、ひな祭り、端午の節句、七夕、お盆等、私達の暮らしの中には、受け継がれた伝統文化があります。毎月の行事を住まいに取り入れることで、文化を知ることが出来ます。そして、四季のおもてなしは、家族を通して受け継がれていきます。いくつか、我が家のおもてなしの写真を例にお伝えしようと思います。

 

≪十五夜のおもてなし≫ 旧暦八月十五日(今年9月19日)

十五夜のおもてなし 十五夜のおもてなし

 

≪菊の節供のおもてなし≫ 旧暦九月九日 (今年10月13日)

菊の節供のおもてなし 菊の節供のおもてなし

 

 写真上段は、十五夜のおもてなしです。長板の上に、月見団子十五個とススキ、シダの葉に里芋、サツマイモ、かぼちゃ、葡萄、有の実(梨)を供えました。暮らしの中に季節感を取り入れることで、日頃あわただしく過ごしている時間が、ゆったりと流れ始めます。お団子もススキも私達の生活にあるものです。特別なものは何もありません。野菜や果物は、供えた後に食します。この季節に収穫されるお米、果物、野菜の恵みへの感謝の氣持ちを一緒に供えます。

 写真下段は、長寿をお祝いする重陽の節供(菊の節供)のおもてなしです。この日の前日に、菊に綿を被せて一晩おき、翌朝にその綿で顔や体に馴染ませる風習があります。菊の花の精を頂いて長寿を願う行事です。他にも菊の花びらを浮かべて菊酒を頂きます。この日はお祝いの日なので、赤に大輪の菊が描かれた帯を、黄色い菊の花と一緒に供えました。家は、人が寛ぎ集まる大切な場所です。一緒に住んでいる家族や、訪ねて来る友人・知人にも季節のおもてなしが出来ます。ゆったりとした時間をつくるのは、住まいのおもてなしです。私達の暮らしは、おもてなしの文化にあふれています。

 

 

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塩田 紀久代 (しおひめ)


 *和文化おもてなし研究所 代表
 *伝統文化むすび使・和文化おもてなしコーディネーター

 

1974年 山形県・鶴岡市出身。
幼い頃より父の影響を受けて、山村の年中行事に親しむ。
2006年 母の病気・他界を機に、約12年携わった
ショービジネスのマネージャー業からホテル・旅館業に天職する。
旅館の新規開業・再生事業を行う、おもてなし部署に所属する。
箱根・強羅温泉、静岡・修善寺温泉にて旅館業全般に携わる。
帰郷後、ホテルに入社。マネージャー職となる。
半年後には、ホテルが「ハイクラスの宿」となる。

 

和の文化を通して人と地域をむすび 社会にたくさんの笑顔をつくることを理念に
2012年10月「和文化おもてなし研究所」(商標登録)を開設。
子どもの着付け、女性のしぐさ。季節の年中行事を通して、
暮らしに生きるおもてなしの提案を行っている。
受け継がれた和の文化とおもてなしの心を未来につなぐ活動として
「見返り美人になって和のおもてなしを学ぼう」講座を開講。

 

2013年10月公開予定 映画「おしん」の制作に所作指導として映画撮影に携わる。

 

 

ホームページ http://wabunka-omotenashi.jimdo.com/

映画「おしん」公式サイト http://pr.livedoor.com/movie/oshin/