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しおひめの「和文化おもてなし」~人と文化がつながる時間~

 

第六回目 家族がつながる盆行事

 

 八月に入り、東北もやっと梅雨が明けました。皆さま、いかがお過ごしでしょうか。
東北の各地では夏祭りや花火大会が開催され提灯や花火で町が彩られています。今回は家族が集まるお盆について皆様と一緒に時間を過ごしていきたいと思います。

 七月盆が終わり、八月盆が間もなくやって来ます。私が住む山形県・庄内地方では七月盆と八月盆両方あります。同じ市内でも七月・八月と分かれています。県内では八月に行われる地域が多いです。現在の暦で七月盆、月遅れにて八月盆が行われていますが、一昔前までは、もう一つの盆がありました。主に山村ですが、十数年前まで旧暦の七月十五日(今年の暦でいうと8月21日)に盆が行われていました。現在は八月の十五日の盆に合わせて行事が行われています。

 盆の時期になると、ふるさとへ帰省する方が多いですね。お正月と同じ位、帰省します。人はなぜ、ふるさとへ帰るのでしょうか。盆になると帰省してお墓参りをする。毎年行われる盆行事は、子供が盆行事を行う親の姿を見て受け継がれてきた行事です。花を持ってお墓に行くこと。掃除をすること。蝋燭や線香に火を灯して手を合わせること。親の背中を観て子どもは盆行事を家族の行事として受け入れていきます。親と一緒にお墓参りをすることで、先祖を敬う心を育てていきます。盆の頃には、久しぶりに親戚や友人・知人に会うことで両親や家族が繋いでくれた縁が、次の世代に繋がれていきます。中でも、おじいちゃん・おばあちゃん達が繋いでくれる縁は大きいように思います。私は小さな頃、両親が自営の仕事をしていたので、近所のてんぷら屋のおばあちゃんの所によく遊びに行っていました。おばあちゃんと手を繋いで歩いていると、おばあちゃんの友達・家族に会うことが多かったです。今でいう挨拶回りのようなものです。そこに、おばあちゃんの温かい気持ちがありました。直接言葉にはしたことはなかったけれど、一緒に手を繋いでくれた先には、「この子のこと、この子の家族のことよろしくお願いします」おばあちゃんの温かい氣持ちが込められていたことを大人になって感じました。

 遠く離れていても、見えないところで自分や家族のことを見ていてくれる人がいます。盆に久しぶりに会う親戚や家族も、見えないところで支えてくれている人です。小さな頃から見ているからこそ、相談ごとに親身になって考えてくれる人、時には叱ってくれる人もいます。お盆は、こうした家族と人の縁がつながる時期です。

 ふるさとに帰省すること。私達の心の中には、いつも家族や地域とつながる時間を持ちたい氣持ちがあります。だからこそ私達は、お盆になると懐かしさと温かい時間を求めて「ふるさと」に帰りたくなるのでしょうね。

 八月に入り、七日を迎えると、墓掃除等の盆の支度が始まります。盆菓子・地域によって一日に提灯を出して盆の支度が始まるところもあります。旧暦の頃は七月七日が盆の始まりでした。ちょうど七夕にあたります。この日、秋田県を中心に川に入り身を清める「ねぶり流し」という行事が行われていました。主にこの行事は、睡魔としての眠りを水で流す、祓いの行事です。

 盆を迎える前に行われる特徴から、先祖が戻る盆を迎えるための儀式としても考えられています。身を清めて、盆のもてなしの支度をします。

 

盆の支度 さげもの  供え物・ナス(牛)ときゅうり(馬)

盆の支度 さげもの 

供え物・ナス(牛)ときゅうり(馬)

 

 こちらは、山形・庄内地方の我が家の盆です。仏壇に盆菓子や灯りの代わりとしてほおづきをさげます。(さげものと呼びます)盆は夏野菜の収穫時期でもあるので、収穫への感謝をこめて仏壇の他の机にも野菜・果物を供えています。提灯を飾り、蝋燭・線香に火を灯し先祖を迎えます。ナスとキュウリで作った馬と牛は、迎え火の日には仏壇がある方に向けています。煙に乗ってやって来るのでしょうね。十三日から十五日までは、仏壇にお膳を供えます。地域の特徴としては、胡麻豆腐にあんかけと生姜を添えた、あんかけ豆腐、あんかけ素麺、煮しめ等があります。お膳のおもてなしは、先祖の姿は見えなくても、もてなしをすることに変わりありません。朝の食事は、供えた膳と同じものを頂きます。食事を通して先祖とつながる時間を過ごします。送り火の日の夕方には、ナスとキュウリの牛と馬を玄関側に向けて線香を焚いて先祖を送ります。また来年帰って来てくれますように。いつも見えないところで見守っていてくれてありがとうの氣持ちを添えて送ります。

 

お盆のお膳 送り火

お盆のお膳

送り火

 

 我が家では皆で楽しみながら盆の支度をしています。なぜか提灯の組み立てが人氣です。 それも家族の想い出として、私達と子供たちの心の中に盆行事が残っていきます。 一年、また一年と積み重ねた行事が、家庭の盆行事になっていきます。 人と文化がつながる盆行事。どうぞ皆さま、心地よいお時間をお過ごしください。

 

 

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塩田 紀久代 (しおひめ)


*和文化おもてなし研究所 代表
*伝統文化むすび使・和文化おもてなしコーディネーター

 

1974年 山形県・鶴岡市出身。
幼い頃より父の影響を受けて、山村の年中行事に親しむ。
2006年 母の病気・他界を機に、約12年携わった
ショービジネスのマネージャー業からホテル・旅館業に天職する。
旅館の新規開業・再生事業を行う、おもてなし部署に所属する。
箱根・強羅温泉、静岡・修善寺温泉にて旅館業全般に携わる。
帰郷後、ホテルに入社。マネージャー職となる。
半年後には、ホテルが「ハイクラスの宿」となる。

 

和の文化を通して人と地域をむすび 社会にたくさんの笑顔をつくることを理念に
2012年10月「和文化おもてなし研究所」(商標登録)を開設。
子どもの着付け、女性のしぐさ。季節の年中行事を通して、
暮らしに生きるおもてなしの提案を行っている。
受け継がれた和の文化とおもてなしの心を未来につなぐ活動として
「見返り美人になって和のおもてなしを学ぼう」講座を開講。

 

2013年10月公開予定 映画「おしん」の制作に所作指導として映画撮影に携わる。

 

 

ホームページ http://wabunka-omotenashi.jimdo.com/

映画「おしん」公式サイト http://pr.livedoor.com/movie/oshin/