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しおひめの「和文化おもてなし」~人と文化がつながる時間~

 

第七回目 ふるさとの野菜たち

 

 九月に入り、雨の日が続いている山形・庄内地方です。皆さまいかがお過ごしですか。

 今回は季節を告げる、ふるさとの野菜をいくつか紹介をしようと思います。庄内地方は東北・山形県の日本海側に面した地域です。北は秋田県・南は新潟県に隣接する南北に連なる位置にあります。主に在来作物と呼ばれる庄内地方の野菜や果物は大まかに観ても約70種類以上あります。果物ひとつ、野菜ひとつ辿っても、数十種類の品種を見ることが出来ます。春夏秋冬の季節と共に野菜や果物を始めとした作物が実ります。

 五年前になります。帰郷して半年位までの間、私は体調が優れずにいました。顔の頬が荒れて痒みを伴い、皮もむけていました。いわゆるアレルギー性皮膚炎と呼ばれる状態でした。実は、ふるさとに帰り地域で作られた野菜を食べ始めてから、在来野菜で体調も顔の痒みも治ったことがありました。半年を過ぎる頃には顔の頬の痒みもなくなり、一年後には、体調も整い頬の皮もむけることがなくなりました。その頃から、地域の野菜に興味を持ち始めました。今年から庄内の作物の畑を歩き、野菜の姿を見て、手に取って食しています。間もなく秋の実りの季節を迎えます。今回は数ある在来野菜の中から、初夏の訪れを告げる「湯田川孟宗」、盆を告げる「與治兵衛きゅうり」盛夏の野菜「早田ウリ」を取り上げてみました。

 

①湯田川孟宗  ②與治兵衛(よじべえ)キュウリ

①湯田川孟宗 

②與治兵衛(よじべえ)キュウリ

 

 写真①は、五月の中旬に湯田川地区の孟宗竹の筍です。根が柔らかく、孟宗独特のえぐみが少ないので、下茹でをしないまま料理の材料として使うことが出来ます。庄内地方・鶴岡では、この筍に椎茸・厚揚げ・豚のばら肉を入れて酒粕・味噌で合わせて孟宗汁にして食べることが多いです。お刺身にしてワサビ醤油につけて食べる、孟宗をホイルに包んで焼いて食べる等しても美味しいです。孟宗の香りが口の中に広がり美味しさが増します。湯田川孟宗は、食べやすい孟宗として庄内でも人氣の品種です。写真②は温海地区・小国の與治兵衛キュウリです。お盆の精霊様を迎えるための使われるキュウリです。太さは、市販のきゅうりの約3倍あります。長さは20センチ程です。これだけの太さがあるので、③與治兵衛キュウリで作る精霊馬は存在感があります。耳には南天の葉を使い、尾にはススキを、お腹には昆布を巻いています。災いを祓い(南天)、喜んで(昆布)ご先祖を迎える。そんな意味があります。ススキは先祖を迎える依代です。精霊馬ひとつに、受け継がれた先人たちの想いがあります。七月の始めに種をまき八月の盆に合わせて毎年十二日に収穫されます。非常に短い期間の生育と収穫です。一つの蔓から実るキュウリはわずか、三・四本で、商品として育てているのではなく、時代を超えて作っていくことで與治兵衛キュウリが受け継がれています。

 

③與治兵衛(よじべえ)きゅうり・精霊馬 ④早田(わさだ)ウリ

③與治兵衛(よじべえ)きゅうり・精霊馬

④早田(わさだ)ウリ

 

 写真④は温海・早田地区の早田ウリです。実には、細く白い溝を描く線が10本あります。8cm~10cmの球形で、ちょうど手のひらに収まる大きさです。主に八月の盆の前後に収穫されます。今年の収穫は、八月の十八日に行われました。早田ウリは食べ頃になると、蔓から自然に実が離れます。食べる時は、蔓が付いていたウリの上部から下部へ白い溝の線に沿って厚手に皮を剥いていきます。早田ウリの糖度は10度前後。食感はメロンに似ていて、さっぱりとして懐かしい甘さがあります。メロンよりも食べやすいです。農家の方にお話を伺うと、食べ物の種類が少なかった時代には、地域の人々にとって、この早田ウリは、唯一の果物でおやつとして食べていたそうです。今の時代も早田ウリは、ほんのりとした甘さが人氣の庄内の在来野菜です。

 今回は、主に夏の在来野菜を取り上げてみました。実りを迎えるにも、野菜によって大きく異なります。収穫まで一年ほどかかる孟宗、目には見えない土の中では八月に、来年の芽が出始めます。主な収穫の時期は五月中旬です。與治兵衛キュウリは、七月初めに種を蒔き、翌月十二日に収穫されます。早田ウリは、四月十七日のお祭りを境に種を蒔きます。一年という中で、在来作物は、土という場を通して実りの時期を迎えます。常に気候と隣り合わせです。必ずしも昨年の同じように収穫に恵まれるとは限りません。それでも実りの時期に向けて命を繋いでいます。

 人にも同じようなことが当てはまるのではないでしょうか。今ある場所で実りの時期に向けて生きること。実りの時期は人によって異なります。在来作物は、それでも、一日を精いっぱい生きることの大切さを、収穫を通して私達に教えてくれます。

 

 

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塩田 紀久代 (しおひめ)


*和文化おもてなし研究所 代表
*伝統文化むすび使・和文化おもてなしコーディネーター

 

1974年 山形県・鶴岡市出身。
幼い頃より父の影響を受けて、山村の年中行事に親しむ。
2006年 母の病気・他界を機に、約12年携わった
ショービジネスのマネージャー業からホテル・旅館業に天職する。
旅館の新規開業・再生事業を行う、おもてなし部署に所属する。
箱根・強羅温泉、静岡・修善寺温泉にて旅館業全般に携わる。
帰郷後、ホテルに入社。マネージャー職となる。
半年後には、ホテルが「ハイクラスの宿」となる。

 

和の文化を通して人と地域をむすび 社会にたくさんの笑顔をつくることを理念に
2012年10月「和文化おもてなし研究所」(商標登録)を開設。
子どもの着付け、女性のしぐさ。季節の年中行事を通して、
暮らしに生きるおもてなしの提案を行っている。
受け継がれた和の文化とおもてなしの心を未来につなぐ活動として
「見返り美人になって和のおもてなしを学ぼう」講座を開講。

 

2013年10月公開予定 映画「おしん」の制作に所作指導として映画撮影に携わる。

 

 

ホームページ http://wabunka-omotenashi.jimdo.com/

映画「おしん」公式サイト http://pr.livedoor.com/movie/oshin/